さよなら、アドルフ/LORE
2012年オーストラリア、ドイツ、イギリス
監督:ケイト・ショートランド
脚本:ケイト・ショートランド、ロービン・ムケルジー
出演:サスキア・ローゼンダール、カイ・マリーナ、ネレ・トゥレープス、ウルシーナ・ラルディ、ハンス・ヨッヘン・ヴァーグナー
まず第一に思うのは、
なぜ原題のままではだめだったのか。
「グッバイ、レーニン!」(あれは原題ママ)に寄せた?わけないか。
確かにヒトラーにサヨナラしたようだけど、
戦後のとある少女の半生、というような気もする。
邦題はサブタイトル的にとらえればいいだろうか。
混乱している世の中を、自身もまだ14歳という子供なのに幼い妹ら4人も引き連れて900㎞離れた祖母の家を目指す…
過酷すぎて聞いただけで怖くて泣きそう。
しかし常に気を張り弱音は見せないローレ。
この責任感の強さがよくもあり、アダとなったり。
説明的なセリフが少ないので、
じっくり観て考えるお話だった。
Methanol/Metanol
2018年チェコ
監督:テレザ・コパコヴァ
出演:ルカシュ・ヴァツリーク、ヴェロニカ・フレイマノヴァ
実際に起きた事件をもとにしたドラマ。
日本のマーケットしか知らない私は、
「密造酒」というのは個人店や家庭で作られたものだと思っていたので、
こんな風に市場に出回るなんて恐ろしい…
無差別殺人だね。
しかし、昼から飲む人多すぎ。
一度は酒の販売を停止させた政府だけど、
すぐにそれを解除。
経済が回らなくなるからだ。
国民の安全よりも経済を撮るのはどこの国も一緒なのね。
ちょうど、今(2020年)が"コロナ禍"にあるので印象に残った。
「国がこうしてるから・ああ言ってるから大丈夫」はただの責任転嫁、
それではだめだという事がコロナに重なり身に染みた。
盛り上がりに欠ける、というレビューもあるようだけど、
日常におとずれる恐怖、的な感じがしたし、
観る時代や国によってそれはまた変わってくるのでは、と思った。
ゆれる人魚/The Lure
2015年ポーランド
脚本:ロベルト・ボレスト
出演:キンガ・プレイス、ミハリーナ・オルシャンスカ、マルタ・スズレク、ヤクブ・ギェルシャウ
全編随所に歌がちりばめられ、まるでミュージックビデオのような美しい映像。
BGMのように流してもよさそう。
金髪で可愛い系のシルバーが姉で、黒髪クール系のゴールデンが妹なのだが、私はずっと逆だと思っていた。
魚の部分が、生臭いにおいがしてきそうなくらいにリアル。
確かに、あの上半身を支えるにはあのくらいのサイズが必要なのかも。
はじめはいたずらっ子の顔だったのが、徐々に人間の汚れた世界に染まっていく。
主食は人肉。
しかし、人一人殺して食べるのは一口程度。
コスパ悪し。
好きな男のために人間になろうと手術を受ける姉。
(死んだ?)人間を真っ二つに切り、同じく姉も半分にされ、
下半身を取り換えて縫合。
なんとも原始的な。
その傷が治らぬうちに好きな男と抱き合うが、
血が彼についてしまい気分を害される。
え、ケガ(術後)の女の子に手を出してそれは酷くない??
これは何かの比喩?
ラストは、童話の人魚姫を思わせる報われない終わり方で、
切ない気持ちに。
ポーランド、いつかは行ってみたい国だけれど、
あまり馴染みがないしポーランド映画も多分初めて観た。
スキップトレース/Skiptrace
2016年アメリカ合衆国、中国、香港
監督:レニー・ハーリン
出演:ジャッキーチェン、ジョニー・ノックスビル、ファン・ビンビン
体を張ったアクションだけどお気楽にみられる映画。
ありきたり…もといお約束な展開で分かりやすいストーリーに強引な演出。
2時間サスペンスドラマ並みにゆるく楽しめる。ツッコミは野暮。
流石の私でもジャッキーは知ってはいるが、キチンと観た事があるのは「プロジェクトBB」(2006)くらい。
その他は金曜ロードショーをチラ見程度。
それでもなんとなく「ジャッキー映画」の雰囲気は掴んでいた。
エンディングがメイキング集とか。
今回のジャッキーは、相棒の仇でもある香港犯罪界のドンを追っている刑事。
しょっぱなから派手なアクションで民家を大崩壊。
ちゃんと上司に叱られ停職処分(常識ある上司…?!)。
相棒の娘・サマンサに頼まれ捕まえたコナーはずいぶんと手癖の悪いアメリカ人。
手品か。そして隙あらば、逃げる。
しかしその姿が、ハリウッド映画のアメリカ人とは雰囲気が全く異なるのは、彼がコメディアンだから?これが中華映画だから?
ラスト、コナーとサマンサはよさげな雰囲気になり、
ジャッキー(ベニーという役名があるが私の中では彼はどの映画でもジャッキー)と同じ刑事のレスリーは、ジャッキーにべた惚れする。
それが至極当然のように描かれているが、どう見ても親子以上に年が離れていて違和感しかない。
尊敬はしても恋愛にはならないでしょー?
いつまでも若いつもりか。
男の夢なんですかね、勝った男に美女が付く。
女は美しければよし。
ゲイ・ホモはお笑い。
(そんな風に思ってしまうのは、私の思考がこのご時世の風潮に飲まれているのかな?)
プロジェクトBBのレビューだけども、
「歳離れすぎで、もはや恋人というか親子にしか見えない…金にモノ言わせて女の子を侍らす、ジャッキーの絵面が思い浮かんでしまった」
10年前でこれって、ジャッキー映画はいつもこんな感じなん?
かなりのイケメンなのにほんのちょっぴりしか映っていなかった、
レスリーの同僚ぽいエズモンド(ディラン・クォ)がなんだか不憫…。
彼の方がレスリーにお似合いでは。
最初の追っ手でもあるロシアンマフィア、
各キャラクター個性的だしおまぬけで可愛すぎる。
大男セルゲイがいるけど、たぶん、
シベリアのターミネーター・ダーシャ(ジャッキーに「ロシア人怖っ!」といわしめた)が一番強いんだろうな。
髭の深い一見コワモテな彼(名前不明)はクリっとしたおめめと笑顔が可愛い。
コナーが、ボスの娘が妊娠したと告げられて「あれで妊娠するわけがない」とつぶやいていたけど何をしたんでしょう。
そしてファミリー総出で出産を見守り(このシーンが好き!仲良しだなぁ~)、
無事生まれた赤子の顔がどう見てもセルゲイに瓜二つ(という設定)。
娘が「ごめんなさい、コナー!」と叫んでいたけど、
それはボスの部下とやっちゃったのを誤魔化すためコナーに濡れ衣を着せようとしてたってことなのかな?
生まれる前に籍を入れちゃわなくてよかったね!笑
お気に入りレビュー
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2019年2月18日に日本でレビュー済み
って言うかエリック・ツァンの名前、そんなトップにクレジットしたら「後でまた出て来るんだろうな」と思いながら見てしまうやんか。せめて"Guest Appearance"とでも書いとけばクレジットからのネタバレを回避できたのに。
内容は、ビジュアルが『80デイズ』でストーリーが『ミッドナイトラン』。アクションに関しては大半が過去作の焼き直し。スタイリッシュな編集と軽快な音楽にのせて、『デッドヒート』の家壊されながらのファイトや、『THE MYTH/神話』のベルトコンベアネタ、『シャンハイ・ヌーン』の馬が言うこと聞かんコントや列車からのダイブ、『レッド・ブロンクス』のはねられてボヨーンって飛ぶコミカル人身事故、『ポリス・ストーリー3』の人間ロープウェイ(withユン・ワー)、『ライジング・ドラゴン』の多国籍大乱闘などをゆる~く安全に再現。
「全部見たことあるわ!」というツッコミより「高齢なのによく頑張ってる」といういたわりの気持ちが勝ってしまうのがファンの心情…。実際、スピーディじゃなきゃいけない、命懸けじゃなきゃいけない、という押し付けを持たずに観れば全部ちゃんと面白い。今、実写でこんな漫画みたいなことやってんのジャッキーだけだし。
結局ビンビン姉さんがテントでバウンドしてダンボール箱に落下するシーンが一番ジャッキー映画っぽかった。
キャストについては、あの人のカメオ出演(バスの乗客役)にめちゃめちゃ感動。『トゥームレイダー2』の時と同様、唐突に登場したので「おぉっ」と声が出てしまった。今もキョンシー映画のリブート物などでは見かけるけど、ジャッキー映画は『奇蹟/ミラクル』以来の約30年ぶり。お元気そうで何よりです!
あと『ライジング・ドラゴン』のテコンドークイーン、ジャン・ランシンが「脇役でしょっちゅう出てる人」としてかつてのロー・ワイコン化し始めてる。定番キャストという要素もジャッキー映画のお約束だから、今後も役の大小を問わず出続けて欲しいな。
一方、恒例の「いてもいなくてもいい役で韓流タレントを起用する枠」にはヨン・ジョンフンがキャスティングされ(ハンサム・ウィリー役)、過去の皆様と同じく重要度ゼロ・見せ場ゼロで出番終了。この韓流枠いったい何なんだろう…。
ラスト、雑すぎるヘリコプターの合成で『イースタン・コンドル』のエンディングを思い出した。
【余談】
部下の婦警レスリー役のシー・シー(Shi Shi)を検索しても別人がヒットする場合、「施詩」もしくは"Kira Shi Shi"なら本人がヒットします
アクションに切れがないとか批判的なレビューも散見したけど、
60を過ぎた人間に何を求めているのだwと思ってしまう。